(6)


 だが、我々が途方に暮れているときも、ビルマ軍は追いつづけた。我々は二門の八一ミリ迫撃砲と四丁の三○式軽機関銃に囲まれ、凹みに火の玉を投げ込むよ うな集中砲火に晒された。仲間たちは頭を上げることもできず、昼過ぎになると、ビルマ軍の攻勢はさらに強化されてきた。負傷兵が次々に運び出され、最前線 は圧迫を受け止めきれず、ずるずると山頂へ向かって後退し始めた。これは、我々がビルマに入ってから、もっとも劣悪な戦況の一日といえた。
 李國輝将軍は、巨砲の砲弾が着弾した振動に崩落させられてしまいそうな洞穴の中で緊急軍事会議を開いた。変化に対応すべく話し合ったが、みなの面々を見 ると、おそらく残っている弾薬は明日の戦闘を維持できないほどになっている。洞穴の入り口から漏れ入ってきて反射している、うっすらと弱い太陽の光のなか に、一つ一つの顔が蒼白になっているのが見えた。
 ちょどそのとき、僑領、馬守一が哨兵に連れられて現れた。彼の衣服は途中の刺でびりびりになっていて、靴にしてもパックリと口を開けていた。目をまっす ぐに座り込むと我々に悪い知らせを報告した。ビルマ軍は、タチレク、小猛捧、猛果、アカなどのあらゆる華僑を全部逮捕した。男女の別なく、殴打陵辱してい る。ビルマ軍は同胞に対してもあれほどまでに野蛮なのだ。中国人に対してなにを遠慮することがあろうか。私の毛髪は根元から逆立った。
「李将軍」
馬守一は低い声で叫んだ。
「あなたたちは祖国の軍隊です。我々を助けてください!」
 李國輝将軍は沈痛にみなを見回した。我々はすでに死のすぐそばにいる。援助の手を差し伸べる力が残っていない。最後に、誰が言ったか分からない一言が飛んできた。
「我々はもう弾薬がありません!」
「弾薬なら私が何とかします!」
馬守一が言った。
 彼は明日の夜明けまでにビルマ軍かタイから数千発を購入すると保証した。実際、彼は嘘をつかなかった。夜が更けてきたころ、彼は四千発の銃弾と、一万ビルマチャットの現金を送ってよこした。
 彼が去ったあと、我々の軍事会議は未だに結論が出ていなかった。しかし、誰もがみな分かっていた。タチレクの華僑を救出するにしても、孤軍が生き残ることにしても、なにより、まずは、あのビルマ軍の巨砲と機銃を片付けなければならないのである。
 だが、鼠が猫の首に鈴をつけにいくのと同様、一体誰がこれをやるのか、また、どうすればできるのか。
 最後に、張復生副大隊長が立ち上がった。彼は決死隊を率いて、ビルマ軍の背後に回りこみ、我々を戦慄させるあの六つの武器を黙らせることを願い出た。連隊で決死隊を編成していると、第三大隊の董亨恒大隊長が声に応じて手を挙げた。
「私も行く、私は君たちと行く」
私は言った。
「だめだよ君は、妻子がいるじゃないか、鄧さん」
董亨恒大隊長が私を引き止めた。
「君にだって妻子がいるじゃないか!」
彼は頭をふと下げた。私は彼の顔に、ある種の不吉な影を見た。







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